よくある労務のご相談 Vol.2
家族が病気になって、
フルタイムで働けなくなったら?
ある日、事業主さんから相談が届きました。スタッフのご家族が怪我をされて、しばらくの間、毎日1時間遅れて出勤せざるを得ない状況になったとのこと。
「できるだけ本人の希望を聞いてあげたいんですが、どうしてあげるのが一番いいでしょうか」
こういう相談が来るたびに、頭を悩ませながらも従業員のことを考えている事業主さんの姿に、ちょっぴり感動します。
THE DILEMMA
どの方法も、一長一短がある
毎日1時間遅れて出勤する場合、まず思い浮かぶのは時差出勤や短時間勤務ですが、それぞれに悩ましい点があります。
時差出勤(始業・終業時間の繰り下げ)
1時間遅く出勤して、1時間遅く退勤する方法です。労働時間はそのままなので給与は変わりません。
悩ましい点:帰りが遅くなってしまう。家族の介護や保育園のお迎えで早めに帰りたい方にとっては、むしろ逆効果になることがあります。
短時間勤務制度
1時間短く働く方法です。退勤時間はそのまま、または早めに帰ることができます。
悩ましい点:ノーワーク・ノーペイの原則で、1時間分の給与が減ってしまいます。家計への影響を心配する方も少なくありません。
PREPARED IN ADVANCE
1年前の備えが、ここで生きました
実は、この事業所さんとは1年前に就業規則を一緒に作っていました。そのときに、時間単位の有給休暇を取れる制度を盛り込んでいたのです。
時間単位有給とは、1日単位ではなく1時間単位で有給休暇を使える制度です。遅刻した1時間に有給を充てることで、給与を減らさずに遅い出勤に対応できます。
今回は、時間単位有給を使う方法と、短時間勤務制度を使う方法、それぞれでシミュレーションを作りました。あとは事業主さんと従業員さんで相談して、どちらがいいかを選んでもらいます。
MY ROLE
「相談できる叩き台」を作ること
私が社労士としてできることは、答えを一つに決めることではありません。それぞれの方法でどうなるかを整理して、事業主さんと従業員さんが話し合いやすい選択肢を用意することです。
「これとこれで迷っているんですが」という状態で話し合いができると、当事者同士がずっと決めやすくなります。その叩き台を作る伴走をしています。
LEGAL OBLIGATION
「整備と周知」は、今や義務です
今回のように、家族の誰かが怪我をするというのは、誰にでも起こり得ることです。そのときに使える制度がなければ、従業員は離職か無理なフルタイムかを迫られてしまいます。
昨年の法改正により、育児期の柔軟な働き方について、事業主が制度を選択し、就業規則に明記し、周知することが義務化されました。以下の5つの中から、2つ以上を整備する必要があります。
短時間勤務制度(原則として1日6時間)
フレックスタイム制
始業・終業時間の繰り上げ/繰り下げ(時差出勤)
テレワーク等の在宅勤務
新たな制度(保育施設の設置運営、またはその他の仕事と育児の両立を図るための措置)
この事業所さんでは、①短時間勤務制度と③始業・終業時間の繰り上げ/繰り下げを就業規則に記載していました。だからこそ、今回の相談にすぐ対応できたのです。
FROM ME
家族の誰かが怪我をするというのは、誰にでも起こること。事前の整備と周知の大切さを、改めて感じました。そして、できるだけ従業員の希望を聞いてあげようと頭を悩ませている事業主さんの姿を見るたびに、その背中を全力で支えたいという気持ちになります。
柔軟な働き方の制度整備・就業規則への記載・周知まで、社労士がサポートします。「うちの就業規則、このあたり整備できているか不安」という方は、お気軽にご相談ください。打合せはオンラインで、大阪から全国対応しています。
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