ビジネスと人権
「うちには対象者がいないから」——
その考え方、BHR監査では通じません
「外国人労働者もいない、18歳未満も雇っていない。だから児童労働に関する規定なんて必要ないですよね?」
そう思っていた会社に、ある日CSR調査票が届きます。
ビジネスと人権(BHR)の監査が確認するのは、「問題が起きていないか」ではなく、「問題が起きない仕組みがあるか」です。今日は、大手取引先からCSR調査が届いた中小企業の場面をもとに、この違いをお伝えします。
REAL SCENE
取引先から届いた調査票、開けてみたら……
大手メーカーの2次下請けとして製造業を営むA社(従業員23名)に、取引先から突然CSR調査票が届きました。
担当者が問い合わせてみると、こう告げられます。
取引先CSR部門から
「海外の調達基準に対応するため、サプライチェーン全体で人権対応の確認をしています。来月末までに回答をお願いします」
調査票を開くと、こんな質問が並んでいました。
強制労働・児童労働の防止策はありますか?
採用時に年齢確認を行っていますか?その方法は?
外国人労働者の採用プロセスに関するポリシーはありますか?
A社には外国人も未成年もいません。それでも、これらすべてに「はい」と答えなければならない。「いないから不要」は回答にならないのです。
KEY CONCEPT
BHR監査が見ているのは、
「現状」ではなく「仕組み」
BHRの考え方の根幹にある国連指導原則(UNGPs)は、企業に対して「人権への負の影響を防止・軽減するための適切な措置を講じること」を求めています。
つまり、チェックされるのはこの違いです。
たまたまいないから問題が起きていない
問題が起きないための仕組みがある
グローバルな調達基準では、後者しか評価されません。そして今、この考え方が大企業からサプライチェーン全体へと波及しています。
EXAMPLE
児童労働を例に——実際に何を確認されるか
現在、18歳未満の従業員がゼロであっても、監査では次のような点が確認されます。
チェックされる項目の例
● 採用時に年齢確認を行っているか
● どのような書類で確認しているか(身分証明書の種類・保管方法)
● 未成年を雇用する場合の特別な手続きが定められているか
● 夜間・危険業務から未成年を除外するルールがあるか
「もし採用することになったとき、どうするか」という手順が文書化されているかどうか。これが問われます。
これは法令対応の問題ではなく、ガバナンスの問題です。
FIRST STEPS
「仕組みがある会社」に、まず何から始めるか
いきなり全項目の規程を整備するのは大変です。でも、こんなところから始めることができます。
採用時の年齢確認手順を明文化する
雇用契約書に確認書類の記録欄を設ける
採用チェックリストを作成し、担当者が変わっても同じ対応ができるようにする
「うちには関係ない」と思っていた内容が、取引先のCSR調査票に載っていた——そんな場面はこれからどの業界でも増えていきます。
CSR調査が来てから慌てないよう、「仕組みが整っている会社」として今のうちから土台を作っておきましょう。
CSR調査への回答支援、人権方針の策定、採用手順の文書化はBHR推進社労士にご相談ください。打合せはオンラインで、大阪から全国対応しています。
「うちはどこから手をつければいいの?」と感じたら、
スパツオーネ社労士Webまでご相談ください。

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