· 

「変形労働制だから残業代は不要」は勘違い?シフト表なし運用の危険すぎる落とし穴

こんにちは。大阪の社労士スパツオーネ社労士Webの竹本です。

 

「うちは1ヶ月単位の変形労働時間制を入れているから、

忙しい日は1日10時間働いても残業代は出ないよ。

その分、別の日に休んで調整しているから大丈夫」

 

現場でこのような運用をしていませんか? 

 

実はそのやり方、「事前のシフト表」を作っていないなら、知らぬ間に法律違反(未払い残業)になっている可能性が高いです。

 

まずはこの危険な仕組みを1分で解説した動画をご覧ください。


【動画紹介】 6分でわかる!
その「変形労働制」実は無効かも?

(再生速度変更できます)

▼ 動画の内容をテキストで確認したい方はこちら ▼

1. 変形労働制は「無制限のフリーパス」ではない

 多くの経営者が誤解していますが、変形労働時間制は「いつでも自由に労働時間を延ばせるフリーパス」ではありません。 

あくまで、「事前に『この日は10時間』と指定した日(指定席)」に限って、8時間を超えても残業代がかからないという制度です。

2. 「事前のシフト表」がない=「特急券なしの乗車」

 厚生労働省のルールでは、

対象期間が始まる前に

 

「すべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める(=シフト表を作る)」ことが義務付けられています。

もし、シフト表を作らずに

「今日は忙しいから10時間」

と現場で判断しているなら、それは「特急券(事前の指定)を持たずに特急列車に乗った」のと同じです。 

あとから「月全体で見れば運賃(総労働時間)は足りている」と主張しても通りません。

券を持たずに乗車した区間(8時間を超えた部分)は、

すべて不正乗車(違法な時間外労働)とみなされます。

3. 月の合計がOKでも「未払い」になる計算事例

ここで、衝撃的な計算事例をご紹介します。 ある看護師さんが、以下の働き方をしたとします。

 

  • 月の総労働時間: 170時間(※30日の月の法定上限 171.4時間以内なので、一見問題なし)
  • 勤務実態: 月初に「1日10時間勤務」の日が5回あった。
  • シフト表: なし(事前の取り決めなし)

この場合、給与計算は以下のようになります。

 

 

誤った計算(現状)

正しい法律の計算

見ている箇所

月の合計(170時間)のみ

まず「1日ごとの時間」を見る

残業時間の判定

上限以内なので 0時間

18時間を超えた2時間×5日= 10時間

結果

支払いなし

10時間分の残業代が未払い!

 

このように、「シフト表なし」の状態で1日8時間を超えると、月の合計時間がどれだけ少なくても、その日ごとの超過分はすべて残業代の支払いが必要になります。

 

 

まとめ

「柔軟に働きたいからシフトは決めない」という運用をするなら、変形労働時間制は適用できません。

その場合は、シンプルに「18時間を超えたら残業代を払う」という原則に戻る必要があります。

「制度の名前」だけで安心せず、実態に合った運用ができているか、一度見直してみましょう。

 

大阪 スパツオーネ社労士Web