処遇改善加算、賃金を上げるためだけに使っていませんか?職員定着のための本当の活用法を社労士が解説

介護・訪問看護の経営者へ

処遇改善加算、
賃金を上げるためだけに使っていませんか?

処遇改善加算の手続きが終わると、「あとは給与に反映するだけ」と思っている経営者の方が少なくありません。

でも、ちょっと待ってください。処遇改善加算の本当の意味は、賃金を上げることではありません。職員に定着してもらうことです。

今日は、加算を「賃上げの原資」としか捉えていない経営者の方に、この制度の本当の醍醐味をお伝えしたいと思います。

問い 01

職員は「何を頑張れば
賃金が上がるか」知っていますか?

介護の現場を想像してみてください。毎日、利用者さんのケアに誠実に向き合っているスタッフがいます。夜勤も入り、急な呼び出しにも応えます。でも、自分の給与がどうすれば上がるのか、まったく分かっていない。

これは、珍しいことではありません。

「なんとなく頑張っていれば上がるだろう」「上司に気に入られれば上がるのかな」——そう感じながら働いているスタッフは、やがて「頑張っても変わらないなら、もういいか」という気持ちになっていきます。

何を頑張れば賃金が上がるか、職員に明確に示せていない職場では、処遇改善加算は「ただのお金の配布」になってしまっています。

THE REAL PURPOSE

キャリアパス要件が求めているのは、
「道筋を示すこと」です

処遇改善加算には、キャリアパス要件という条件があります。これは書類を揃えるための形式的なルールではありません。職員が「こう頑張ればこう評価される、だから次のステージに進める」という道筋を作ることが求められています。

訪問介護のスタッフを例に考えてみます。入社2年目のヘルパーが、今後どう成長すれば給与が上がるのか。サービス提供責任者になるための要件は何か。それを明文化して、本人に示す。これがキャリアパスです。

加算は「原資」です。その原資をどう配るかではなく、どう使えば職員が育ち、定着するか——そこを設計するのが、処遇改善加算の本当の活用です。

問い 02

責任が重い職に、相応の給与が設定されていますか?

訪問看護ステーションの管理者や、介護事業所のサービス提供責任者は、現場のスタッフを束ね、利用者さんの状態変化に対応し、家族への説明も担います。責任は重く、求められるスキルも高い。

でも、その役職の給与が「一般スタッフとほとんど変わらない」という職場があります。これでは、責任ある仕事を引き受けようというモチベーションが生まれません。

責任ある職には相応の給与を。そして、その職に就くための要件を明示する。「頑張るほど、ちゃんと報われる仕組み」があることで、スタッフは前を向いて働けます。

「リーダーになっても給与がほとんど変わらないなら、責任だけ増えてしんどいじゃないですか」——こう感じて辞めていったスタッフを、私は何人か見てきました。

問い 03

評価制度、「作って終わり」になっていませんか?

処遇改善加算の申請に合わせて評価制度を作る事業所が増えています。でも、「書類として整えれば申請が通る」という感覚で作ったものは、現場に根付かないことが多いのです。

介護の現場は、年によってスタッフの構成が変わります。経験年数のバランスが変わり、利用者さんの状態も変わる。1年前に作った評価制度が、今の現場の実態に合っているとは限りません。

私が処遇改善加算の評価制度に取り組む際は、最初の設計で終わりにしません。運用しながら、現場の反応を聞き、見直しを重ねる。PDCAを繰り返すことで、初めて現場に合った制度になっていきます。これは、数年かけて丁寧にやる仕事です。

「評価制度を作ったけど、スタッフが納得していない気がする」「制度はあるけど、うまく機能していない」——そう感じているなら、それは制度の中身ではなく、現場との対話が足りていないサインかもしれません。

THE REAL VALUE

この制度の醍醐味は、「理想のチームを作れること」です

処遇改善加算を通じて評価制度を整えることは、単なる賃金管理ではありません。「こういうスタッフに育ってほしい」という経営者の理想を、制度として形にすることです。

利用者さんに寄り添えるスタッフ、後輩を育てられるスタッフ、チームを引っ張れるリーダー——そういう人材に成長してほしいなら、そこに向かう道筋と報酬を制度に落とし込む。

そして、その制度を通じてスタッフが「ここで頑張れば、ちゃんと評価される」と感じたとき、初めて定着につながります。介護職の賃金水準がまだまだ低い今、給与を上げることと、モチベーションを上げることを、同時に設計する。それが処遇改善加算の本当の活用です。

加算は、職員定着のための投資です。その投資を最大限に活かせているか、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

FROM ME

私が処遇改善加算の評価制度に取り組む際は、数年をかけて丁寧に進めます。1年で設計が終わりではなく、現場の声を聞きながらPDCAを繰り返し、その事業所に本当に合った制度を一緒に育てていく。そのプロセス自体が、職場を変えていく力になると信じています。

処遇改善加算の評価制度設計・キャリアパス要件の整備は、スパツオーネ社労士Webにお任せください。数年かけて現場に合った制度を一緒に作ります。打合せはオンラインで、大阪から全国対応しています。

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